コピーバンドとは何か?現役ビートルズコピーバンドが解説

コピーバンドとは何か その意味と意義

「実在のバンドのライブの感動を追体験するプロジェクト」、アマチュアのビートルズコピーバンドに分類される我々「甲虫楽団(こうちゅうがくだん)」は「コピーバンド」をそのように定義しています。演奏者だけでなく観客も一体となってライブの高揚感を共有するという意味で観客もプロジェクトの一員です。対象となるバンドに近づけるために演奏内容やメンバーの役割分担を模倣するのが基本です。

これも「コピーバンド」?

あくまで「実在のバンドのライブ」がコンセプトのはずですが、そこをあえてズラして、一人コピーバンド(宅録)、リモートコピーバンド(メンバー個々に録音)、ソロアーティストのコピーバンド(例:「松田聖子コピーバンド」)、アニメの劇中のバンドのコピーバンド(例:「放課後ティータイムコピーバンド」(アニメ『けいおん!』))、なども存在します。我々甲虫楽団はビートルズのメンバーの役割分担に追従していなのでその意味では少しズレたコピーバンドです。


コピーされるバンドの特徴

コピーバンドが成立するためには演奏する側(供給)と聴く側(需要)双方の市場がバランスよく形成されている必要があります。そのため、コピー対象となるバンドは以下の条件に合致していなければなりません。

  • カリスマ性があり熱心なファンが多い

  • ヒット曲が多数ある(ライブ1本分の選曲に困らない)

  • ライブパフォーマンスが印象的(動き/衣装/楽器/MC)

  • 本人のライブに希少価値がある(ライブがプラチナチケット/すでに解散している/メンバーが他界)

  • 演奏の再現が比較的容易(テクニック偏重でない/少人数編成)

ビートルズはこの条件すべてに合致していることがわかります。日本でいうとキャロル、BOØWY、Judy and Mary、あたりがコピーバンドとして成立しやすいです。



日本はコピーバンドが盛ん

ビートルズの存在がコピーバンドを生み出すのはもはや必然であり、実際世界中に多数のコピーバンドが存在しています。ビートルズはイギリス出身ですが、英語を母国語としていない南米や日本の方がビートルズコピーバンドが盛んなようです。

南米で流行っている理由は不明ですが、日本の場合は先人の偉業を躊躇なく真似する、予定調和の演出(いわゆる「おやくそく」)に対して好意的、といった文化的素養が影響しているのかもしれません。


「コピーバンド」「トリビュートバンド」「カバーバンド」

日本がコピーバンド大国であることの一つの根拠として、「コピーバンド」が和製英語であることが挙げられます。コピーバンドは日本語として浸透するほど日本人にとって直感的な概念ということです。では「特定のバンドの楽曲のみを演奏するバンド」を海外ではなんと表現するかというと「トリビュートバンド」「カバーバンド」などと呼ぶようです。

これらの用語の違いは何でしょうか?日本では「コピーバンド」を含めたこの3種の呼称を以下のように使い分けているようです。このように使い分けるようになった経緯とともにまとめます。

  • コピーバンド:究極的には対象バンドの楽曲の完全再現(「完コピ」)を目的とするバンド。日本で生まれた「コピーバンド」という概念そのもの

  • トリビュートバンド:コピーバンドのうちカツラやメイクまで駆使して対象バンドになりきろうとするバンド。「トリビュートアルバム」「トリビュートライブ」などの際の「トリビュート」(敬愛)というニュアンスとは異なるが、「トリビュートバンド」として来日公演を行うバンドは大衆受けするために物まね要素が強くなる傾向があるためこのイメージが定着した

  • カバーバンド:対象バンドの楽曲を演奏するが完全再現を目的としないバンド。「カバーアルバム」などプロのアーティストが独自解釈で他のアーティストの楽曲を演奏する際に「カバー」と表現されることが多いことによる


コピーバンドは「ダサい」「嫌い」「下手」「むなしい」!?その活動内容

とくにミュージシャンの中にコピーバンドに否定的な方も多いようです。「ミュージシャンとしての創造性を放棄してコピーしかしないのではやる意味が無い」といった主旨です。「コピーバンド」と、その対義語と考えられている「オリジナルバンド」は人前で演奏するという共通点はあるものの目的や土壌が異なるため、本来同列で論じられるべきものではありません。

「オリジナルバンド」の反対は「コピーバンド」では無い

「オリジナルバンド」の反対は本来「オリジナル曲を演奏しないバンド」であって、ここでいう「コピーバンド」とは別物です。つまり前述の批判は的外れと考えます。別物なのでまったく相容れないとも言えますし、並存できるとも言えます。コピーと決別してオリジナルバンドになろうとする人もいれば、プロのミュージシャンが半ば趣味でコピーバンドをすることもあります。ただし、あえてオリジナルバンドの文脈でコピー活動したい人も一定数存在し、そういった場合「カバーバンド」という呼称を用いて「ダサい」と分類さることを回避することが多いです。

コピーバンドが出演できるライブハウス

別物であるため活動場所の傾向も大きく異なります。例えば「ライブハウス」と聞いて真っ先に思い浮かべるオールスタンディング形態の店にコピーバンドが定常的に出演できるのはまれで(イベントで「コピーバンド大会」などはありうる)、着席前提で飲食を提供する形態の店の方が相性が良いです。客層の違いによるところが大きいのでしょう。後者の店は数が少なく出演のハードルも高い(ジャズ界隈であることが多い)のが通常ですが、コピーバンド業界で最大の規模を誇るビートルズコピーバンドには特別に門戸が開かれていると感じます。

ビートルズコピーバンドのライブは豊富 著作権の問題も無し

月例でビートルズコピーバンドイベントを開催する店も多く、東京・六本木には日本一有名なプロのビートルズコピーバンド「パロッツ」が連日出演するライブハウス「アビーロード」があります。我々「甲虫楽団」は年に数回ワンマンライブを開催して平均70名のお客様にご来場いただいています。一介のアマチュアコピーバンドのワンマンライブが成立するのはビートルズならではです。

コピーバンド否定派の論拠にしばしば上がる「著作権の侵害」については、JASRACが管理している楽曲であればライブハウス側が著作権料を包括的に支払っているので問題ありません。
ただし、店側の怠慢で訴えられることもありますので注意が必要です↓
ビートルズ演奏で逮捕! 「なぜだ」という素朴な疑問(J-CASTニュース)
厳密には権利者の機嫌を損ねれば訴えられる可能性はゼロでは無いのですが相手が巨大であればあるほど、コピーバンドの数が多ければ多いほど、元の楽曲を忠実再現するほど、リスクは低くなると考えられるでしょう。その点でもビートルズコピーバンドは安泰です。

下手でも成立するのがコピーバンド

ときおり「文化祭レベル」と揶揄されることも多いコピーバンドの演奏技術ですが、そういったバンドが多いのも事実です。演奏技術がライブの成立を支配するものでは無いということです。それこそ文化祭のような一体感と昂揚感を味わえるかもしれません。この点の好き嫌いによってコピーバンドに対する評価が別れそうです。


コピーバンドのすすめ

特定のバンドに憧れて楽器を手に取った方はすぐにコピーバンドを始めることをお勧めします。始めるのは簡単です。有名なバンドでしたらインターネットを使って募集すればすぐにメンバーが見つかるはずです。コピーであれば作曲やアレンジに頭を悩ませることもありません。メンバーと音楽性の違いで仲たがいすることもありません。一度始めてしまえば途中ブランクがあってもすぐ復帰できます。コピーバンド活動は一生をかけて従事できるコストパフォーマンスの高い趣味(生業ではない、という意味)です。

今はもうライブを見ることができないバンドのファンの方、コピーバンドのライブに来てみませんか?ライブハウスに敷居の高さを感じる人もいるかもしれませんが、会場にいるのは出演者も含めて同じバンドのファンばかりです。疎外感を感じることは無いはずです。コピーバンドのライブはステージ間に飲食用の時間があることも多いので、周囲の人とファン話に花を咲かせるのも醍醐味です。



甲虫楽団について

2008年結成のアマチュアビートルズコピーバンド。東京圏でのワンマンライブを中心に活動。ビートルズのアルバム全曲演奏が売り。これまで『Rubber Soul』『Revolver』『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』『The Beatles(ホワイト・アルバム)』『Yellow Submarine』(※A面のみ)『Abbey Road』『Let It Be』の各アルバムを全曲演奏済み。YouTubeチャンネルでライブ映像を公開しています。